突然だが、僕はポケモンカードを趣味としている。最初は魔王様に誘われて始めたのだけど、やり込んでいく内に、僕の方がハマっていった。
これまで、僕は紙のカードゲームをやり込んだことがなかった。魔界学校で流行っていた遊戯王やデュエルマスターズ等は、どうにも食指が伸びなかったのだ。
コレクション目的で『金色のガッシュベル!』のカードは集めていたが、対戦したことは殆どない。それ故に、ここまでポケモンカードにハマるとは思わなかった。
しかし、僕を沼に誘った魔王様は、既にポケモンカードに飽きている。
そのため、カードは集めているが、対戦する相手がいないバケモノが誕生してしまった。一人でデッキを組んで、満足げに頷いている悲しい獣だ。
魔王様がポケモンカードから手を引いて三ヵ月、僕はいよいよ虚しくなってきた。
だから、僕は6月30日、ポケモンカードの大会に行ってきた。
一人でカードショップに行くのは初めてだったので、少しだけ緊張した。
一般的に、『カードショップは臭い』というイメージがあったのだが、実際に行ってみると別にそんなことはなかった。『臭い』と言われ過ぎて、店舗側も対策を徹底しているらしい。消臭剤と乾燥材がやたらめったらに置かれていた。
◆◆◆◆
さて、僕が今回参加するのは『争奪戦』という大会である。
最新弾のカードだけでデッキを組んで戦う、特殊なルールが採用されている。
本大会では、使用できるカードが少ないので、相手の使ってくるデッキが想定しやすい。さらに、コインの裏表で効果が変わるカードが沢山あるため、普段の大会よりも運ゲー要素が強く、楽しめると思ったのだ。
参加者は全部で40人程度。8人毎に分かれたブロックトーナメント戦形式……
まぁ、わかりやすく言うと、三連勝すれば優勝できるシステムだった。
僕が使用したのは、ブルンゲルとゾロアークを採用したデッキだ。
ポケモンカードを良く知らない人向けに説明すると、先攻からガンガン敵を攻めていき、早期決着を狙うデッキだ。いわゆる『アグロ』と言う奴だね。
大会に参加するのは初めてだが、こういった場ではコミニュケーションが大事であろう。仲良く楽しく、久しぶりの対人戦を楽しんでいきたいものだ。
◆◆◆◆
僕の一回戦目の相手は、青い髪の青年だった。
めちゃくちゃ髪を弄っていたのと、色が随分と綺麗に入っていたので、恐らく一週間以内に美容院に行って来たのだろう。
「素敵な髪色ですね。染め立てですか?」
僕がそう話しかけると、青年はにこやかに笑って、僕の銀髪を褒めてくれた。
よし、グッドコミュニケーション。
青い髪の青年が使っていたのは、キュレムとエルフーンを使用したデッキだった。
相性で言うと割と不利である。早期決着をつけられるかがカギになりそうだ。
そんなことを考えていると、手札を引いた相手の表情が、見る見るうちに曇った。
ああ、事故ったのだな。と思った。
カードゲームでは『手札事故』というのが良く発生する。わかりやすく例えると、『今来て欲しくないカード』が大集合している状態である。
対する僕の手札は、ハンバーガーを二個作れそうな程に順風満帆であった。
そのため、多少の相性不利を覆して勝利することができた。
髪が青色の青年は、悔しそうに溜息をつくと、「ありがとうございました、序盤キツかったす……」と言って笑った。勝負が終わればノーサイド、僕たちは固い握手を交わして、余った時間で会話を楽しんだ。
勝負が終わったら、握り拳を解いて、ズボンで汗拭き握手しよう。
サトシの教えは、僕たちの中にきちんと生きているのである。
ちなみに、青年はジブリ映画だと『紅の豚』が好きだそうだ。わかる。
別れ際、青年は「後は、じゃんけん大会に賭けますわ!」と言って笑った。
そう、実はこの大会、『争奪』戦というだけあって、明確に商品が存在する。
それが、幻ポケモン『ビクティニ』のプロモカード。超絶レアカードであり、メルカリ価格で十〜二十万はくだらない。(7/1時点)
大会で三連勝、つまり優勝した者と、最後に8人で行われるじゃんけん大会に勝利した者は、このプロモカードが貰えるのである。故に、大会で負けたとしても賞品が手に入る希望があるのだ。とはいえ、やはり賞品は優勝して手に入れたいものだ。
さて、十数万円の価値があるプロモカード争奪戦。
僕は勝ち残ることができるのか……滅茶苦茶長くなりそうなので、次の記事に続く。
縷々道 生我
2025-07-31 16:52:59 +0000 UTCよーさん
2025-07-22 09:34:41 +0000 UTC