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縷々道 生我 from fanbox
縷々道 生我

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12月に見た映画の感想

12/3 シン・ウルトラマン


10月22日からAmazon Primeに追加された作品。上映当時に見に行きたかったが、時間が無くて叶わなかった作品なので、早速視聴。なお、ウルトラマンはほぼ未視聴なので、原作を前提とした描写という点で的外れな部分があったら申し訳ない。


あらすじ:敵性大型生物「禍威獣」が次々と出現し、平和を脅かされ続ける日本。5名の専門家による禍威獣特設対策室(禍威対)は、軍や民間と協力し、被害を最小限に防いでいた。ある日、透明禍威獣と禍威対の戦闘中に上空からウルトラマンが現れる。


まず、禍威獣のデザインが凄く良かった。由緒正しい怪獣の流れを踏襲しつつ、令和らしいスタイリッシュさというか、機能美を感じるデザインだった。


世界観の描き方も非常に丁寧であり、「怪獣の襲来」が当たり前になった世の中で、日常生活でサラリーマンが「昨日の怪獣は凄かったな」とか、「巨人が倒したらしい」などの会話を行っている光景は、異質でありながら本作の世界観を伝えるのに十分すぎる描写がされている。


ストーリーの構成も非常に巧みだ。前半でザラブ星人という工作員が偽物のウルトラマンに変身して、ウルトラマンを人類の敵だと印象付けるシーンがある。ウルトラマンが覆面のヒーローであるが故にできる狡猾な手段を持った敵が前半で登場したことによって、単純に禍威獣を倒すだけの物語ではないと解り、物語が引き締まった。


次に地球を脅かそうとしたのはメフィラス星人。彼は地球を愛し、地球人類を発展させたいと考えている。だが一方で、地球を自分の物にしたいとも考えている、消極的な支配思想を持っているのだ。その思想を体現するが如く、彼は暴力も精神操作も使うことなく、政府に対する交渉で自らを【人類の上位概念】として支配層に押し込もうとした。そこで、本作のもう一つの側面である、ウルトラマンを巡った外星人と人間の政治争いを描いた。


最後にゼットンとの戦いを迎えるのだが、ここはもう圧巻だった。今まで外星人にされるがままだった人間が、ウルトラマンが与えてくれたヒントを頼りに、自分の力で地球を守る。ウルトラマンと外星人の戦いでは終わらない、この映画は人類の希望の物語だったのだ。


ラストも特撮……というか王道な展開で熱く魅せてくれた。1から10まで満足感のある映画。非常におすすめである。


特撮は童心のワクワクを取り戻させてくれる、私の好きな言葉です。


12/16 RUN / ラン


今月はほとんど映画を見ていない事に気が付き、旅行中に魔王様からお薦めしてもらった作品を消化することにした。湿度の高いヒューマンホラーだった。


“湿度が高い”で思い出したんだけど、老人ホームでの恋愛沙汰というのは大変に湿度が高いそうだ。なんでも、施設で老人同士が喧嘩する一番多い理由は、自分のお気に入りの女の子(老婆)に話しかけたから……らしい。湿っぽいなそれ。


あらすじ:郊外の一軒家に暮らすシングルマザーのダイアンと娘のクロエ。生まれつき体が弱く、車椅子生活を送るクロエをダイアンは愛していた。しかし、ある日クロエは気づいてしまう、ダイアンがクロエに飲ませている薬が【正体不明】である事を。


割と序盤に判明するのでネタバレをしてしまうと、クロエがずっと飲まされていた【正体不明】の薬は、ペット用の筋弛緩剤……人間にとっては毒薬だった。


そう、クロエが歩けなかったのは、先天的な虚弱体質によるものではなく、幼い頃から母親に投与され続けた筋弛緩剤が理由だったのである。


全ては、娘を自分に依存させるためのダイアンの作戦だったのだ。クロエは外へ出る足を奪われ、心を折られ、強制的にダイアンに依存しなければならない状況に置かれてしまっていた。


これに気づいたクロエは、ダイアンから逃げ出そうと試みる。しかし、彼女は未だ幼い。母親の目をかいくぐって、不自由な身体で逃げ出すのは至難の業だった。履歴が残らないようにPCを使い、逃走のための糸口を探すクロエ。そう、本作はクロエが文字通りの【毒親】から逃れようとする逃走劇なのである。


結構しんどい内容の映画である。クロエが母親に騙されていたと気付いた時に、彼女の感情を想像して涙しそうになった。


母親と二人の家庭に育ち、足が悪くて外に出られないため周りに頼れる大人もいない。そんな状況で唯一頼りにしていた母親が、そもそも自分が車椅子生活を送っている原因であると知った時、彼女はどれだけ“独り”だったのだろう。


ラストシーンで、ダイアンはクロエを追っている最中に階段から落ち、下半身不随となってしまう。その後、筋弛緩薬が抜けて歩けるようになったクロエが、ダイアンを見舞いに行くのだが……このシーンに、本作の本質が語られているような気がした。


親からの‟湿度の高い感情”を描くのが巧みな一本だ。


12/18 シャイニング


ドクタースリープがPrime Videoに入っていたので、せっかくだから前作から見ようとPrime Videoにて視聴。キューブリックの不朽の名作である。


あらすじ:作家志望の主人公は、冬季に閉鎖されているホテルの住み込み管理人として妻と息子と共に引っ越した。だが、そのホテルで次々と怪現象が発生し、徐々に狂気へと飲み込まれ始める……というお話。


本作は、お勧めのホラー映画は?というアンケートを何人かに取った時に、必ず一人は名を挙げるであろう有名な作品であり、様々な伝説がある作品である。


有名な逸話としては、原作改変が多すぎて原作者であるスティーヴン・キングがこの映画を大酷評しており、自分でドラマ版の「シャイニング」を作ったこと(あまり売れなかった)や、撮影に時間がかかりすぎたせいで冬が終わってしまい、終盤は雪の代わりに塩を用いて雪道を再現していたことなど、話題に事欠かない作品である。


また、主観だが「読み手に解釈を委ねる映画」の先駆けなのかな、とも考えている。


本作のラストは、昔ホテルで開かれたパーティーの集合写真で、主人公が何故か映り込んで笑顔を見せている。というシーンで終わる。時系列的に、主人公が映り込めるはずがない。


その理由は明示されていない、読み手の解釈次第である。単に主人公がホテルの狂気に飲み込まれてしまった。あるいは、主人公の前世はこのホテルのオーナーであり、産まれ直す(転生する)度にこのホテルのオーナーをやっている。という解釈ができる。後者は無理矢理な説に思えるかもしれないが、劇中にそれを示唆する台詞があるため、一概に荒唐無稽であるとは言えない。


他にも、綺麗ではあるが配色や家具の位置に違和感がある部屋のデザインや、俳優の演技、時代を感じる演出など、どこに着目しても楽しめる素晴らしい映画。


ホラー映画と言っても、不気味さと狂気をメインに押し出した内容のため、急に大きい音が鳴る!といったことは少ない。ドクタースリープに興味があるなら、是非とも押さえておきたい作品である。

12/19 ドクタースリープ


先々月ごろにプライムビデオに追加された作品、シャイニングの続編という事もあり放映当時から見たいと思っていたが、評判が割とボロボロだったので躊躇っていた。Prime Videoにて視聴。


あらすじ:40年前、雪山のホテルで父親に殺されかけたダン(息子)は、ホスピスで終末医療の患者を相手に仕事をしており、『ドクター・スリープ』と呼ばれていた。ある日、近隣で児童の連続失踪事件が起きる。その事件を調べる中で、ダンは自らの能力と向き合っていく……というお話。


結論から言うと僕は割と好きだった。しかし、この映画が批評を浴びる気持ちも理解できる。そんな映画だった。


前作のシャイニングは、怨念渦巻くホテルの狂気に当てられた主人公がサイコキラーになってしまう、という作品だった。これは、抵抗できない恐ろしい存在と、それから逃れようとする人々の姿を描いた正統派なホラー映画の文脈だ。


しかし、今作のドクタースリープは、強大な力を持った悪人に対して勇ましく戦う人々の物語である。確かに登場する悪役はサイコキラーかもしれないが、やっている事はほぼ異能力バトルだ。MARVELの新作と言われても「まぁ……こういうのもあるか」と思ってしまうほどに正統派なアクション映画の文脈をたどっている。


ただこれは、【続編で作品の方向性を変えた】というわけではないのだ。


先述の通り、映画シャイニングはスティーヴン・キングが書いた原作から大幅な改変が加えられた作品であり、キング原作のシャイニングはここまでホラーに振り切った内容ではなかった。逆に、ドクタースリープは改変個所は多少あれど、基本的には原作に忠実な作りになっている。


だが、【ドクタースリープ】という作品を楽しみにしている層は大体が『映画:シャイニング』を好きな層である。


そのため、連続した作品を映画化したにもかかわらず方向性があまりに違い過ぎると叩かれてしまったのかな、と推測した。


個人的には、邪悪な超能力者をショットガンでガンガン撃ち殺すシーンが衝撃的で好きだった。やっぱ暴力が一番強いんだよなぁ……。後はシャイニングに登場した怪物を召喚してけしかけるシーンも良かった。

12/25 アイデンティティー


Prime Videoが年末休みに向けたセールを開催しており、有料レンタルの旧作映画を100円で貸出し始めた。そのため、以前から気になってはいたのだが、500円払って見るくらいではないかな……と思っていた作品を視聴することにした。


あらすじ:人里離れた1軒のモーテルを舞台にしたサスペンスホラー。激しい豪雨の日、怪我をした妻を抱えた男性がモーテルにやってくる。そのモーテルには、他にも様々な事情を抱えた人が泊まっていた。そしてその夜、惨劇が巻き起こる。


豪雨で作られたクローズドサークル、映画の随所に差し込まれる違和感。そして謎の殺人事件……こういう例えは無粋かもしれないが、良質なマーダーミステリーを見ているような心地だった。


劇中のテンポが良く、オチも秀逸、複線の回収も鮮やかと、シンプルにいい映画だったのであまりネタバレをしたくない。ほぼ20年前の映画とは思えないような現代受けする展開で「この話僕が作ったことにならないかな~」という状態になっていた。


個人的に元警察官の運転手(妻を怪我させた人)が凄く好きで、事故を起こした後の対応や、終盤のムーブが凄く‟漢”だった。黒いロングコートが大雨のせいで革製品のような光沢を放っているの、いいな……って。


似たようなオチの映画を視聴したことがあったこともあり、物語の中盤くらいにはオチが推理できたので、君達もぜひ解き明かしてみてほしいと思う。


どうしても解けないときは、この映画のタイトルを注視してみるといい。



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