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縷々道 生我 from fanbox
縷々道 生我

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終末オカルトナイト―生原稿―【第10回】

【 ハロウィン 】


▼仮装はどうしてするの?


10月31日に世界が狂乱する行事、ハロウィン。東京では仮装した人間どもが練り歩き酒の缶をそこら中に投げ捨てトラックをひっくり返したりする行事として有名。


このハロウィン、そもそも何故仮装をするのか、当然ながら理由はある。


ハロウィンは元々、10月末にその年の収穫を感謝する祭だった。発祥の地域では、1年の終わりをこの日に定めていたという事もあり、毎年盛大な祭がおこなわれる。そして同時に、この日は死者の国の門が開かれる日でもある。先祖の霊が還ってきて共に収穫を祝うのだ。盆と正月が一緒に来た!を地で行ってるね。


だが、死者の門から還ってくるのは先祖だけではない。悪霊や悪魔も、その門を通って人間界にやってくる。人々に悪行を働くためだ。


その悪霊や悪魔に同族だと思わせるため、人々は仮装をする事にした。これがハロウィンパーティーの仮装の始まりである。(逆に悪霊や悪魔を驚かせて帰らせるため、という説もあるがそれは少し悪霊たちを甘く見過ぎではないだろうか。)


また、ハロウィンという名前の由来は『万聖節の前夜』という意味の言葉であり、この仮装パーティーがキリスト教と習合した事によって。万聖節(全ての聖者を祝う記念日)の前夜祭と位置づけられるようになった。


ちなみに、ハロウィンはアイルランド辺りがルーツになっている行事と言われているが、アイルランドではハロウィンの日にトリックオアトリート!をされたくない家は、家の電気を消しておくという風習がある。


追記:同族の振りをして難を逃れるというのは、日本民話的な考え方だと思っていたが、むしろ中国由来の文化だったようだ。


▼ハロウィンのサディスト


そんなおめでたい祭に、実は怖い都市伝説がある。『ハロウィンのサディスト』だ。この都市伝説は1940年代頃からアメリカを中心に広まっている。


ご存知の通りハロウィンは、地域が一丸となって行うイベントだ。地域にいる大人が、仮装して遊びまわる子供にお菓子を与える。このように共同体単位で楽しむお祭りである。普段話さない地域の人と交流する貴重な機会がある一方で、『接さない方が良かった』人と触れ合う機会も出来てしまうのだ。


ハロウィンのサディストとは、ハロウィンの時期に針や毒物が入ったお菓子を子供たちに配って回る変質者の事である。というかこれサディストじゃなくて犯罪者だろ。


この都市伝説は戦後から流行り出し、細々と受け継がれていたが、今ではアメリカで有名な話となっている。この事件が現実に起きてしまったからだ。


1980年代、ハロウィンのサディストが実際に出現したというニュースが流れた。加害者はハロウィンのキャンディにシアン化合物を混入させて8歳の子供が亡くなる事態になった。


それだけでも大変な事態なのだが、なんと加害者は8歳の少年の父親だった。父親は息子に多額の生命保険をかけており、都市伝説化しているハロウィンのサディストに濡れ衣を着せようとした。父親は警察に、他の家庭からキャンディを貰った!と主張していたらしいが、保険金をかけたタイミングから見るに、ほぼ間違いなく計画的な殺人である。


また、父親は娘にも同時期に生命保険をかけており、同じく毒物入りのキャンディを渡していたらしい。娘はそれを食べていなかったため、無事に済んだ。


この事件、凄惨な事件であるのはもちろん、都市伝説と言う存在の危険性を感じてしまう。今回のケースがそうであるとは断定できないが、何かに“なぞらえて”危険な事件を犯す動機にウワサを使われてしまうことがある。


例えば、口裂け女の模倣をして包丁を持って歩き回り、逮捕された女性。女性は精神的に危うい面があり、一歩間違えたら罪もない子供たちが手に掛けられていたかもしれない。例えば、切り裂きジャックの噂でもちきりになったロンドンでは、模倣犯・愉快犯のせいで沢山の婦人が傷つけられた。


都市伝説はゲームやアニメと違い、現実の世界に在るとされているものだ。だが、それに影響されてしまってはならない。


ところで、伝承は昔戒めとして使われていた経緯がある。流れの早い川には河童の伝承が、崩れかけた山には天狗の伝承が、それぞれ『立ち入ってはいけない』という警鐘として語り継がれている。


ハロウィンのサディストだって、当初は『知らない人への警戒心』から流れた都市伝説だったと思われる。皮肉にも、そのせいで事件が起きてしまったかもしれないわけだが。都市伝説や伝承を見る際には、それがどういった経緯で・どのような警句を秘めているかをよく考えながら見てみるといい。


感想:そして、それらを扱っている僕は、それを誤解のないように広めなければならない。そんな風に改めて思った。


▼元はケルトのお祭り?忌まわしい風習も


そんなハロウィンは、実は元々ケルトのお祭り、ケルトは割と血なまぐさい伝統が残っている土地なんだけど、その中でもハロウィンはいっとうにえげつない。まだ仮装をするという文化が無かったころ、ハロウィンの前身であるサウィン祭では、死者の門からやってくる悪霊から身を守るために生贄を捧げていた。


日本の生贄は、土に埋めたり壁に塗り込んだり池に身投げさせたりするのがレギュレーションとなっているが、海外では違う。突き殺した生贄を木に吊るしたり、ワイン樽で溺死させたりといった一風変わった方法で生贄を捧げている。


中でも恐ろしい生贄の方法が、かの有名な『ウィッカーマン』。日本語で言うと枝編み細工の人。巨大な木製の人形の中に人や家畜を入れて火を放つことで生贄としたのだ。何でそんなまどろっこしい事を?と思うかもしれないが、それは明らかになってはいない。大量の人間が生贄になっている事を悪魔にアピールするため、とか、そういった理由なのだろうか。


ウィッカーマンといえば、1970年代にニコラス・ケイジが主演で同名の映画が公開されたそうだ。今は見る手段が殆ど無いと言われている名作だそうなので、動画配信サイトとかにあったらこっそりと僕に教えてください。


一度搭乗したら二度と無事には帰れない『ぼくらの』のロボットみたいなウィッカーマン。この悪しき風習は、かの有名なカエサルによって廃されたと言われている。

【 アカマタ クロマタ 】


▼沖縄県における『来訪神』


沖縄県の西表島発祥の行事、アカマタ・クロマタ(時にシロマタ)はいわゆる来訪神。以前配信で紹介したなまはげやアマメハギと似たような存在である。海の彼方にあるとされる理想郷・ニライカナイからやってくる神であり、豊年をもたらすと言われている。


ニライカナイ、というのは複合的な観念を持った場所であり、神の国でありながら、人間の魂が還る場所でもある。亡くなった者の魂はニライカナイへ帰り、そこで祖霊神として生まれ変わり、子や孫の代を守護する存在になるのだ。


実は、3柱の中でクロマタだけは元々人間だったらしい。猟に行った男性がどういう経緯か神になり、年に一度村から海を見ると現れるようになったのだという。彼が見える位置が村から近ければ豊作、離れていれば凶作となる事から、元一般猟師の神は豊作の神として祀り上げられるようになった。それがクロマタ、アカマタとシロマタは彼の子供であるとされているようだ。


さて、話を戻そう。次は、実際にどんな行事であるかの説明をしようと思う。行事が始まると、アカマタとクロマタ(時にシロマタ)は、森の奥の秘密の場所から出てきて、島の家を一軒一軒訪問する。そして、五穀豊穣の祈願を行うそうだ。


それから、新しく島に迎えられた者、成長した者をギラヌム(青年団)に加入させる儀式が行われる。この辺りはかなり難解な手順があるからここで全てに言及する事は出来ないのだけれど、調べてみると供述ベースの記事があるから、自分の目で確かめて欲しい。


ただ、「供述ベースの」である。何故写真や動画がほぼ存在せず、不安定な供述と言う形でしかこの儀式の全容が残っていないのか。それは、この祭事の独特の習わしに理由があった。


▼口外禁止!真相不明!謎の祭事


このアカマタとクロマタのお祭りでは独特の習わしがある。「録音・撮影・覗き見・メモ」など、島の外にいる人間に祭の内容が広まる可能性のある行為は全て禁止されているのだ。それも禁止、という生易しいものではない。


写真撮影した人が殺された、暴行を受けた、海上で覗き見をした人の船が沈められて重度の後遺症を負った。「ギラヌム」と呼ばれる青年団が脅し文句で「今日は俺達が何をしても誰も咎められない」と口にした。アポ無しで来たマスコミが消えた。など、最早マナーやルールと言ったレベルではない厳戒態勢を敷いている。


メモをしようとすると、青年団にメモを奪われてしまった。という証言もあった、直近でこのお祭りがどんな事をしているかについては、実際に現場に行った人間にしかわからないのだ。


ちなみに、この写真はじゃあ何?ってなるんだけど、1920年に撮影が成功したほぼ唯一の資料とかだったと思う。


▼実際に行ったことがある人の話


知り合いの知り合いの話で恐縮だが、今から30年程前に実際に行事を見に行った人の話を聞いた事がある。本邦初お披露目、あまり口外はしないようにね。


さて、その知り合いのゼミの教授が90年代に秘祭を見に行ったそうだ。行事が始まる前に、ギラヌム達に囲まれておかしな事をしたらくる(方言:殺すの意)と散々に脅されたらしい。彼は、森の奥からアカマタ達が来るのを待った。サー、サーと箒を引きずるような音が森の奥から聞こえ始める。教授は息を呑んだが、その瞬間に周りのギラヌム達が土に頭をこすりつけて前のめりに倒れた、土下座だ。


ここは勿論屋外である、が、掃くようなが聞こえた瞬間、ギラヌム達はまるで大名行列を見た江戸時代の人間のように土にはいつくばって、そのままピクリとも動かない。教授も真似をして土下座したそうだ。箒の掃くような音が地面をこする音が段々近付いてくる。土下座をしているので見えないが、サーという音と共にぺたぺたと足音が聞こえてくる。裸足なのだろうか。


でも、前を通った瞬間に教授は息をのんだ。足音が聞こえる、でも足音が歩行距離に比べて明らかに頻度が高い。沢山の人が歩いているのだろうか。教授がちらりと視線だけ正面を向けると、クロマタの足は三本あった。この足が作り物かどうかまでは判断できなかった、教授は箒の音が聞こえなくなるまで土下座していたという。


クロマタはその後、民家を回って豊年の祈祷を行った。それから一通りの行事をこなした後海へ帰るという流れだ。


教授はクロマタ達が海へ行くまでの間、何度かクロマタの姿を見たが、足先まで長い毛で覆った草を被っているため良く見えなかったという。


最後の舞も、住民が総出で土下座してアカマタ・クロマタの舞を見ていた。いや、見れる角度じゃない。土下座してるんだもん。


教授も詳細までは解らなかったそうだが、舞が終わって村人たちが顔を上げるのに合わせて顔を上げたら、そこにはアカマタ・クロマタも、彼らが纏っていた衣装も無かったという。ひょっとして彼らは本当に海の向こうに帰っているのだろうか。謎は残るばかりである。

【 ワルプルギスの夜 】


▼実在する『魔女の祭』


ヴァルプルギスの夜って聞くと、ある人は魔法少女を思い出したり、またある人はカードゲームを思い出したりするだろう。そもそもヴァルプルギスの夜というのは、中央北欧では有名な祭典である。地域によって特色が有るので、今回は主にドイツで行われる祭典を主軸にして紹介していく事にする。


そもそもこれがどういうお祭りか、と言う話をしよう。ドイツには5月初めに『ケートハブン』という春祭がある。季節の節目、厳しい寒季から実りある暖季に移り変わる節目。その節目をお祝いする祭だ。ワルプルギスの夜はその前夜祭と位置付けられている。


また、キリスト教的には、聖人ワルプルガの聖名祝日が関係しているという説もある。ワルプルギスの名前の元となっている聖人ワルプルガは、強い魔術封じの力を持っていた。その力が最も強くなる日が5月1日なのだが、魔術の封印に対抗するべく、その前夜に魔女たちは山奥に集まって対抗するのだという。魔女のサバトのようなイメージは恐らくここから連想された物であろう。


ワルプルギスの夜という字面だけ見れば、まるでワルプルギスが魔女のように思えるかもしれないが、ワルプルギスは魔術封じの聖人の名前であり、どちらかといえば魔女を『狩る側』である。


それなら、一般人には関係のない祭なの?と考えるかもしれないが、節目を越えてやって来る実りの暖季は人々にとっても嬉しいもの、魔女ではない一般人も、祭を開いて盛大にお祝いをする。日本で言う豊年祈願の祭のようなものかな。


感想:ドイツ語ではヴァルプルギスナハト、超必殺技の名前みたい。


▼受け継がれる祭事


だが、近年魔女は人に近くなった。文明を得た人間は魔女や魔法を恐れなくなり、ワルプルギスの夜は徐々にアミューズメント化していった。


近年では、ワルプルギスの夜は立派な観光資源であり、様々な地方で魔女的な装飾を施した街を、怪物の仮装をした人々が練り歩く行事になっている。それなんてハロウィン。


また、この時期に若者がノリで悪さをする!と言う悪しき風習が残っているそうだ。それなんてハロウィン。出店とか限定商品なんかも出るらしい。


魔女の仮装だけでなく、アニメのコスプレを楽しむ人もいるそうなんだけど、一番人気は暁美ほむららしい。毎年何人かのほむらがワルプルギスの夜に混じっているそうだ。これ絶対日本人だろ。


ちなみに、魔女と言えばとんがり帽子の女の子!というイメージがあるが、ドイツの魔女裁判の記録では、初期に魔女裁判にかけられた人物の七割は男性だったそうだ。『魔女』という日本語で括ると違和感があるかもしれないが、ドイツ語ではHexeという単語で括られており、ここには男女差は存在しないため日本独特の違和感と言える。


▼祝祭の終わりを告げる『バリティニの火』


ドイツ北岸地域の一部では、ワルプルギスの夜の終わりにバリティニの火、という大火を上げる風習がある。


この風習は今も残っている。実際に某所でその写真を手に入れたので下に添付することとする。



うん……あー……大火ね、うん。

終末オカルトナイト―生原稿―【第10回】 終末オカルトナイト―生原稿―【第10回】

Comments

今回のオカルトナイトも興味深くおもしろかったです😆次回の「山」も楽しみにしています。 ところで縷々道さま、クランプスってご存じですか? この季節に思い出すハロウィンとクリスマスとなまはげを足して割ったようなものなのですけど🎃🎄👹 是非「クランプス 志村坂上」で画像検索してみてください😊

るしお


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