ハードボイルドなスパイ映画。普段アクション映画はあまり見ないのだけれど、知り合いに薦められたのでAmazon Primeにて視聴することにした。
そういえば、『ハードボイルド』というのは『固ゆで卵』の事であり、意思が強く感情に流されない人の事を指す言葉らしい。
固ゆで卵より固い物はいくらでもありそうだよね……と思ったのだが、本来柔らかい人間の感情(=生卵)が、色々な人生経験をして加熱され、固ゆで卵になったのだと考えるとそこはかとなくエモい。
あらすじ:東西冷戦の時代、イギリスの諜報機関『サーカス』の中にソ連の二重スパイがいるという情報が入った。だが、誰が二重スパイかわからない以上、組織の人間に二重スパイを探せという指令は与えづらい。そのため『サーカス』の上層部は、かつて陰謀に巻き込まれ組織を去った老スパイに、犯人追及の極秘司令を下した。
エリートスパイ達による高知能な出し抜き合いが気持ちよい映画。登場人物の男性がほぼ全員喫煙者であり、職場でスパスパ煙草を吸う光景を見て「冷戦時代(1950-1990くらい)だもんなァ……。」と妙に納得してしまった。良い時代になったね。
ハードボイルドな男達が、個人の感情を押し殺して組織の為に動く格好良さ、それによる葛藤の心理描写も丁寧で面白かった。
所謂ゲーム版『Fate』の後輩ヒロイン、間桐桜ルートを劇場アニメ化した映画。Amazon Primeで一時期無料だった気がするが、執筆時点では有料レンタル(500円)になっている。
本作[Heaven's Feel]は全3部構成で1部が2時間程度の長さである。別ヒロインである遠坂凛ルートの劇場版が2時間未満のフィルム1本で駆け抜けたことを考えると大分厚遇されている気がする。
あらすじ:人の願いを叶える願望機『聖杯』を巡る聖杯戦争。その裏で暗躍する間桐臓硯(桜の祖父)や、勝手に桜と主人公にコンプレックスをモリモリ湧かせて暴走する間桐慎二(桜の兄)など、周囲の無法者に翻弄される桜。一方近隣の地域では、住民が集団で亡くなる事件が発生。世界に何が起きているのか、そして桜の運命は……。
先述のように、恋愛ゲームの1ルートをそのまま映画化した作品なので、Fateの事をふんわりと知っていれば初見でも楽しめるようになっているのは良い造りだと思う。
ただ、この桜ルートは元のゲームの中で一番の鬱シナリオと名高いルートであり、第1部ではメインヒロインである桜の表情が劇中の8割くらい曇っていた。笑って。
また、主人公である衛宮士郎は、ある事情から正義の味方を目指している青年である。本作では、彼の行動と思考を通して『正義』とは何かを深く考えさせられる事も多い。
あと制作会社がufotableだけあって、戦闘描写の魅せ方が凄い、格好いいの一言だった。Fateを見たことないよ!という人でも入りやすい本作、是非楽しんでね。(でも曇る)
キービジュアルに惹かれて視聴、本格派の静かめなホラー映画かと思っていたが、色んな意味で裏切られた。Prime videoにて視聴。(執筆当時はレンタル400¥)
あらすじ:DV夫に苦しめられ不自由な生活を送る妻のマディソン。ある日、謎の侵入者によって夫が殺害されてから、彼女は奇妙な夢を見るようになった。『ガブリエル』という怪物が知らない人を殺す夢だ。奇妙な夢だと思うマディソンだったが、その夢の中で殺されていた人が現実世界でも殺されている事が判明。そんな中、ガブリエルの魔の手は徐々にマディソンの日常へと迫っていって……という話。
◆キャラクター紹介
・マディソン
本作の主人公、DV夫の苦しみから解放されたと思ったらガブリエルに付き纏われるようになる。ガブリエルについて何かを知っているようだが……。ラストシーンではゴールド・エクスペリエンス・レクイエムを使う。これホラー映画だよね?
・デレック
マディソンの夫、開始10分くらいで死ぬ。妊婦であるマディソンに暴力を振るった挙句『もう妊娠するのやめろよ!』と外道過ぎる発言を残す。お前の子だろ。ある意味全ての元凶。
・妹
マディソンの妹、作中でガブリエルの正体に最も近づいた才女。本作の登場人物は味方サイドが有能過ぎてあまり怖くない。家族愛が強く、精神的に追い詰められたマディソンを支える精神的支柱。途中でプリンセスフォームになる。
・ケコア
本作最強の男、Tier1。『ホラー映画の警察は無能』という定説を覆した警察署の若きホープ。怪物ガブリエルと遭遇した際には拳銃と格闘術でこれを圧倒し、これまで様々な人間を殺したガブリエル(笑)がガン逃げする事となった。
以下ケコアさん最強伝説
・壁に貼り付ける筋力を持つガブリエルに力負けしない
・建物の3Fから落ちたのに普通に逃げ出したガブリエルを追う
・ガブリエルが下水道に逃げてもパルクールをしても追従
・暗闇からの攻撃に当たり前のように対応
・翌朝何事も無かったかのように出勤
今まで絶望の象徴だったガブリエルが逃げの一手に徹するしかなかった光景に、僕は思わず『ケコアさん』とリスペクトを込めてしまった。これホラー映画だよね?
・ガブリエル
本作の怪物にして元SCP、怪物にしては割と話が出来る方でたまにジョークも飛ばす。自らに因縁のある研究者を殺して回っているようだが、その目的は……。
また、グロテスクな見た目をしている彼だが、最初に殺した博士の部屋で拾ったトロフィーを気に入って持って帰り、謎に丁寧な作業工程を経て愛用武器にするお茶目な面もある。通学路で長い棒を見つけて持って帰る小学生みたいで可愛いね……。
最終的にマディソンのゴールド・エクスペリエンス・レクイエムによって思考の牢に囚われる事となった。これホラー映画じゃないかもしれない……。
本作は『チャイルド・プレイ』とか『キャビン』に近い物を感じる。
グロ要素は多めだが、アクションシーンがキレッキレなので見て欲しい。
Vtuber怪談夜話が終わった後にくみんさんに薦められた作品、Amazon Primeにて視聴。『こういう映画よく見てるんだよね~』と言われて彼女の心の闇を見た気がした。
あらすじ:アメリカ合衆国で犯罪抑制のためにある施策が講じられた。『犯罪を止めるのが不可能なら、ガス抜きの期間を設ければいい』という逆転(?)の発想で生み出された施策『パージ』である。それは1年に1度、12時間だけ如何なる犯罪をも許容するというとんでもない施策だ。そんなパージの期間を平和に乗り切ろうとする一家の元に謎の男が訪れ、一家はパージの恐ろしさを思い知ることになる。
ほぼ全ての犯罪が無罪放免になる狂気の一夜。街では銃撃戦が巻き起こり、朝に挨拶をした隣人が殺戮者になる、そんな人間の闇の部分を巧みに描いた良作。極限状態で出る人の醜さ、美しさ、そんな強い感情をたっぷりと浴びる事ができる。
警備会社がやたら儲かる、パージの夜はセレブが狩りの感覚で殺人を楽しむなど、こういった制度がある環境『ならでは』の世界観があるのも特徴。
映画開始時に美しい音楽と共に残虐な映像が流れるという演出があるのだが、キューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』を思い出して気分が仄暗くなった。ああいう演出好き。
もし一日だけ、すべての犯罪を許されたとしたら自分は何をするだろう?この映画を見ながら、僕はそんなことを考えていた。大したことは思いつかなかったから、多分ケーキ屋さんで無銭飲食とかすると思う。
なお、本作はその斬新な設定が受けたのか、続編が次々と生み出されている。最新作である『フォーエバー・パージ』は、パージの期間が1年に12時間ではなく、永遠になるというテーマだそうだ。それただの世紀末では?
『韓国発!容赦なき新感覚整形サイコホラー』という触れ込みのホラーアニメ、韓国のホラー漫画を映像化した作品らしい。Amazon Primeにて視聴。
ホラーやゴア表現が多い映画ばかりを見ているせいか、僕のAmazon Primeのおすすめ一覧に出てくるサムネイルの色は大体赤か黒である。僕だってたまにはすみっこぐらしとか見たい時もあるやい。
あらすじ:小さい頃から外見に強いコンプレックスを持つ女性、イェジ。 彼女はある日、バックレたタレントの代わりにテレビに出演する事になった。だが、番組放映後、イェジは出演時の画像をネットに晒し上げられ、インターネットのオモチャにされてしまう。絶望した彼女は、“どんな人間も美しくなれる”という怪しすぎる触れ込みの水『整形水』に手を出すが……。
安易に利益を得られる怪しい道具に手を出して、高慢になり破滅するという某セールスマンアニメで百万回見たような展開の作品……と、途中までは思っていたのだが、ラストの展開が衝撃的だった。困惑した。
よく考えたら劇中に伏線らしきものも散りばめられており、ひょっとして名作なのでは?と錯覚しそうになったが、どれだけ伏線があったとしてもあの衝撃のラストには結び付かないので納得感は薄い。『やりたいこと、やったもん勝ちB級(映画)なら~♪』と担当が居酒屋で作ったような脚本である。
『韓国発!容赦なき以下略』の触れ込み通り、主人公は割と可哀想な目に合うのだけれど、嘘八百を掲示板に書き込んで嫌いなタレントを叩いたり、優しい両親に八つ当たりしたりしているのであんまり同情できなくてメンタルに優しい。
これは余談だが、インターネットやSNS関係の描写が凄く生々しかったので、作者は多分陰キャである。Q.E.D
あのー……クソ映画です!(褒め言葉)
ニッチな作品を取り扱っている映画館の近くを通りかかった際に上映していたため視聴。公開中の映画なのでサブスクでは配信していないと思う。宇宙から来た食人族に加えて何故かゾンビが出てくるSFホラー、どうして?
あらすじ:イギリスにある田舎の天文台に研究旅行に訪れていた大学生一行が、宇宙から飛来した肉食エイリアンとゾンビから地球を救うため戦いを繰り広げる、という作品。
作品紹介に『「グレムリン(名作)」や「マーズ・アタック!(名作)」「ウォーキング・デッド(名作)」などのエッセンスを満載して描いたSFホラー!』と書いてあったが、カレーと寿司とラーメンを混ぜたらこうなるんだな……って感じだった。
以下、本作の『ヤバい所』を記す。
ヤバい所1 エイリアンがやたらコミカル
本編開始20分くらいまでは『言語の通じない侵略者』という風に描かれていたエイリアン達だったが、作品が進むにつれて小ボケを挟みながら喋るようになる。喋るな。
『エルム街の悪夢』も作品が続くにつれてフレディが売れないコメディアンのようなジョークを飛ばすようになっていたが、正直ホラー作品の怪物にはあまり喋らないでほしい。『人やん……』となってしまう。
ヤバい所2 外道過ぎる主人公陣営
中盤で、自分達が連れている『食人エイリアンの天敵の子供』を排除するためにエイリアン達が自分を追っていると知った主人公達。ならば、人の多い所に行くのは関係ない人を巻き込んでしまうかもしれないからやめておこう……とはならなかった。
なんと主人公達は、『人を隠すなら人ごみの中』と言わんばかりにパーティー会場や豪邸など、人の多そうな所に片っ端から突っ込んで行って「逃げろ!皆エイリアンに襲われるぞ!」と叫び出すという奇行に走る。(本人たちに悪意はない)
天敵を排除するため、主人公達を追ってくるエイリアン……次々と殺される人……増えていくゾンビ……
……これもう半分グルだろ。
ヤバい所3 日本人への高すぎるハードル
本作に出てくる大学生一行は、様々な人種で構成された多種族グループ。その中にアカネ、という日本人の女性がいる。このアカネ、パニック下の状況に置いて非常に有能な人物で、一介の大学生の癖に事故を起こしたバスを一人で治し(工具も持っていなかった)
「日本人ならこのくらい誰でも直せる」と言い放った。
日本車が世界でも品質が良いと有名な影響だろうか、日本人は皆素手でバスの故障を直せるらしい。日本人ってすごいなあ。
また、このアカネというキャラクター
・初登場のゾンビに一人でいるところを襲われる
・夜中に拠点から一人で抜け出し単独行動
・皆を安全な部屋に入れて、『ここは私に任せて!』
という、並の人間なら確殺ラインの死亡フラグを立てた上で、十何人いた大学生の中で唯二の生存者となっている。
監督……日本人好きだろ。
Amazon Primeに落ちてきたら見てもいいかもしれない、視聴後は乾いた笑いが漏れる事だろう。
Prime Videoでオススメに出てきた作品、不気味なキービジュアルと設定に惹かれて視聴した。後で知ったが、ホラー映画のランキングで頻繁に名が挙がる『シックス・センス』の監督が制作した作品だそうだ。
あらすじ:人里離れた美しいビーチに訪れた複数の家族たち。だが、そこは恐るべき早さで老化が進む異常な空間だった。慌てて皆がビーチから出ようとしても不思議な力で押し戻されてしまう、ビーチに閉じ込められた人々はどうなっていくのか。
恐るべき早さで老化が進む、とあるが、具体的にどのくらいかというと『1日で50年分』年を取る。さっと計算したが通常の18,250倍の速度だ。恐るべき早さとかそういうレベルではない。
これだけ時の流れが早いと、ちょっとした怪我なら瞬きする内に治るし、毒が体内に入ったらあっという間に全身に広がっていく。そんな『時の流れが早い』事を活かしたハプニングやアクシデントが発生していたのも評価点。
個人的には、ビーチに来る前は6歳の子供だった男女が何も知らないまま子供を作り、産まれた赤子が成長に耐え切れずに死んでしまうシーンが一番怖かった。十月十日など、このビーチでは20分程度の出来事。何も知らないままに行った行為で、20分の内に一つの生命が生まれ、そして死ぬ。こんな残酷なことがあるだろうか。
作中の時間経過で子供だった登場人物が大人になる作品はあれど、ここまでの速度で老いていく作品はないだろう。最初6歳だった主人公の男の子が、終盤では初老の男性になっている。もしも彼らが生き残ったら、失った時間を想って生き続けていくのだろうと思うと、とても悲しくなった。
映画の感想サイトでは、『監督は本作を通して限られた時間の大切さを伝えたかったんだ』と書いてある事が多いが、僕はあまりその意見に賛同できない。
本作では誰にでも必ず訪れる『老い』と『死』の恐怖が描き出されているように思う。時間の大切さ、というよりは時間の残酷さ……誰にでも平等に訪れるが故に、誰も逃れる事の出来ない恐怖を描きたかったのではなかろうかと思う。
追記:洞窟をごろごろ転がって全身複雑骨折⇒時間経過の治癒を繰り返し、ジョジョの決めポーズみたいな体勢で死んだ女性のシーンは、あまりにシュールで笑ってしまった。洞窟を転がるな。
友人からお勧めされてAmazon Primeにて視聴。ホラー映画ではないが、人によっては視聴に堪える描写があるので『汚い描写』に対して抵抗がある者は視聴を控える事を勧める。
あらすじ:主人公が目を覚ますと、白い部屋にいた。ベッドと水道しかない殺風景な部屋の中央には大きな穴が開いている。その建物は高い塔のような構造をしており、食べ物は上から『プラットフォーム』という台座に載せて運ばれてくるようだ。囚われた主人公の運命は如何に。
この『プラットフォーム』という台座が本作のキモであり、気持ち悪い部分でもある。あらすじでも言っている通り、大量の食べ物を乗せた台座は上から中央の穴を通って降りてくる。そして、この塔には各階に主人公が今いる部屋と同様の部屋があり、そこには同じように人がいる。
つまり、上から降りてくる食べ物は『上の階の住人の残飯』なのである。なんという明確な階層社会。塔に囚われた住人たちは、塔の上から下まで穴を通って移動する台座に載せられた食事を共有しているのである。
上位の階にいればきちんとした食事を取る事が出来るが、下位にいる場合はウン百人の人が食べた残飯を食べる事になるのだ。はい、ここで気分が悪くなった人は視聴を控える事をお勧めする。僕は顔を青ざめさせながら全部見た。
そして、この部屋の階層は月に1回入れ替わる。法則は恐らくない、完全なランダムだ。先月150階で残飯を漁って居た住人が、今月は1階で手付かずの食事を取る事もあれば、逆もまた然り。
ただ、残飯でも漁る事が出来ればマシな方、本当に下の階になると、残飯すらも残らない。1ヶ月何も食べないわけにはいかないため、そうなった場合は同じ部屋の人間を殺して食し、命を繋ぐ者もいる。
そんな環境で、主人公はどういった決断をしていくのか。それは見てのお楽しみ。
個人的には、タイトルが非常に言い得て妙だと感じた。プラットフォームは単に『台座』という意味もあるが、同時に『生活・社会の基盤』という意味も内包する。
上位階の住人が台座の食事を食べ散らかし、ぐちゃぐちゃになった残飯を下位階の住人が食べるしかないという構図は、階層社会を意図的に風刺した物なのだろうな、と思考した。
その上でクライマックス、主人公が下した決断はかなり解釈が分かれる。皆はどう思ったか、聞かせて欲しい。ただ本当に汚いのが駄目な人は見るな。結構クるから。