四国旅行の初日、僕と魔王様は香川県のホテルで宿泊した。
ホテルに着いたのは夜の21時、まだ眠るには早い時間だ。
魔王様の部屋に遊びに行くことも考えたが、安宿と言うこともあり、お互いの部屋を行き来することはできなかった。
退屈を持て余した僕は、スマホで映画でも見るか……と考えて携帯電話を起動させた。すると、魔王様からメッセージが来ていることに気が付いた。
「コンビニでお菓子を買いに行くがてら、散歩でもしない?」
知らない町を、あてどなく散歩する。……良い!良いね!
ただ、その前にお風呂に入って汗を流したい。
そう考えた僕は『お風呂に入ってから行きましょう。23時ごろにホテルの入り口に集合するというのはどうでしょうか。』とメッセージを返した。
現在の時刻は21時40分……。
僕はベッドから飛び起きて、お風呂に入る支度を始めた。
――――――――
23時、ホテルの入口に行くと魔王様がウキウキで待っていた。
身長が190センチ近くあるだけに、ソファに座っていても滅茶苦茶に目立つ。
僕たちはホテルを出て、コンビニを探して歩き出した。
しかし……コンビニに入ることは叶わなかった。
なんと、香川県のコンビニは23時で閉まる所が多かったのだ。
ゲームも一時間しかできないし、この県は一体どうなっているんだ!?
(香川県の方がいたら申し訳ありません。)
僕と魔王様は、開いているコンビニを探すべくそこら中を歩き回った。
しかし、県庁所在地がある場所だというのに、香川県の夜はとても暗かった。
これはもう駄目かもしれない。
そろそろ日付が変わる時間だし、大人しくホテルに帰ることにしようかな。
そんなことを考えながら、高い建物の角を曲がると、急に視界が明るくなった。
この時間帯に開いている店があるのか!?
目を擦りながら光源を目視する。そこにあったのは『デカいTSUTAYA』だった。
なんだ、ただのデカいTSUTAYAか……。そう思いながら通り過ぎようとすると、隣を歩いていた魔王様が驚いたように目を見開いた。
「ちょっと待って、なんか車多くない?」
TSUTAYAの方を見ると、確かに駐車場が七割程度埋まるくらい車が停まっている。どうしてこんな時間に……?
『何故か人が集まるデカいTSUTAYA』の謎を探るべく、僕と魔王様は潜入捜査を行うことにした。
――――――――
TSUTAYAに入った僕たちは驚いた。
香川県の若者全員がここに集まっているのではないかと思うくらい、店内が若者に満ち溢れていたのだ。
その理由は、店内に入ってすぐに分かった。
TSUTAYAにSUTABA!?僕は意外な取り合わせに驚いた。
若者たちは、広々としたスタバの席に座り、気取らない格好で言葉を交わしている。
バーほどきっちりとしていない、しかし、ファミレスほど野暮ったさもない。
若者たちにとって、スタバは夜を過ごすのに『丁度いい緩さ』の空間なのだろう。
子供ではない、しかし大人にも成り切れない。
そんな彼らが、自由を求めて集まった場所が此処なのだと思うと、このスタバがとても優しい場所のように思えた。
僕たちも、珈琲一杯分の時間を、そこで過ごすことにした。
追記:魔王様は何故か旅先で『葬送のフリーレン』の新刊を買っていた。魔王様、それは魔族の差別を助長する有害書籍です。
縷々道 生我
2024-05-21 10:19:22 +0000 UTC蝶々
2024-05-20 15:56:08 +0000 UTC縷々道 生我
2024-05-20 04:14:17 +0000 UTC縷々道 生我
2024-05-20 04:14:02 +0000 UTCよーさん
2024-05-20 00:02:48 +0000 UTC一般匿名
2024-05-19 19:18:35 +0000 UTC