北海道に行くため、僕は久しぶりに飛行機に乗った。コロナ禍やVtuber活動の忙しさもあり、飛行機に乗るのは実に五年ぶりだった。
五年も乗らないとすっかり感覚を忘れてしまうもので、飛行機の中はかなり新鮮な空間だった。まぁ、新鮮な空間であるというだけで、良い空間では無かったのだが。
安い飛行機を選んだこともあってか、天井は狭く、席の間隔もお世辞にも広いとは言えない。そんな中で、僕が予約したのは窓際の席だった。飛行機の形状の都合、窓際の席が一番狭かった。悲しい。
一時間半程度とは言え、この人口密度で着席するのか、と少しげんなりしたことを覚えている。
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滑走路に向かうため、ゆっくりと動き始める飛行機。窓から見える主翼を眺めながら『ほッそいな〜〜』と、痩せ型の甥っ子を見る叔父のような反応をしてしまった。
風を切るために細い翼をしているのだろうが、こんなに細い翼で空が飛べるのか?と無駄に詩的な疑問を抱いてしまう。
そもそも、飛行機が飛ぶ理由は明確には分かっていない。
飛行機が飛ぶ二つの原理である、ジェットによる推進力・浮かび上がる揚力ーーこの内、揚力を証明する方法がないからだ。
わからないからこそ、疑問に思うのかもしれない。この翼は本当に空を飛ぶのに足り得るのかどうかを。
僕の心配と裏腹に、飛行機は飛び立つ。当たり前のように地面を離れて、斜め45℃で空に向かう。街を見下ろし、雲を突き抜け、北海道へと僕を運ぶのだが……その旅の道中に、とんでもないことが起きた。
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事前に言っておくが、僕は乗り物酔いをしたことが殆どない。少なくとも、飛行機では一度もない。
高低の気圧差で耳が痛くなったこともない。ちょっと違和感あるかもしれないな……くらいのことはあれど、それは痛みではない。
しかし、原稿生活で身体が鈍ってしまったせいか、今回のフライトで僕は飛行機酔いをした。胸の内がかぁッと熱くなる。動悸がする。ここにいたくない、と言う気持ちが高まる。
その憎悪感を、この前神田の古本市で購入したミステリ本を読んで無理矢理に抑えていた。
しかし、飛行機が北の大地へ降り立つ時、更なる苦難が訪れた。
『飛行機頭痛』、というものがある。高層から低空に移動する際に気圧差によって発生する頭痛である。それに気圧差による耳の痛みが加わり、僕は頭(全体)が痛い!という前例のない痛みに襲われてしまったのだ。
そこに酔いの気持ち悪さも加わって、飛行機を降りるまでの20分間、僕は大分グロッキーになってしまった。
新千歳空港で四葉乳業のアイスクリームを食べ、何とか事なきを得たが、飛行機旅行に対して過剰な程に『酔い止め薬』や『耳抜き』を徹底しようとする人の気持ちがわかった気がした。
帰りは飛行機に負けない、そう決意した。